コロナ禍の吉野山

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【現地報告】コロナ禍に見舞われた奈良吉野 2020/05/17更新

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吉野駅

 2020年3月31日 閑散とした近鉄吉野駅

    未だ世界中に暗い影を落とす新型コロナウイルスの脅威。その影響はここ吉野山も例外では無く、かつて経験した事のない危機的状況に激震が走った。緊急事態宣言が解除されたとは言え、まだまだ先行きの見えない不安が渦巻くコロナ騒動下の吉野山。その様子を現地から報告―。

(※2020年5月15日現在、吉野町では新型コロナウイルスの感染者は報告されていない。)


3月下旬:閑散とする桜の名所

    日本有数の桜の名所としても知られる奈良吉野山。桜の時期にもなるとその賑わいは凄まじく全国各地から集まった大勢の花見客で平日休日を問わず連日お祭り騒ぎに。時には周辺の交通を麻痺させてしまう程だ。
今年は全国的に平年より1週間から十日早く桜が見頃を迎え、吉野山下千本でも3月末日には山々が綺麗な桜色に染まっていた。
しかし、今春は新型コロナウイルスの影響で人出は過去に経験した事の無い規模の大幅減に陥る。観光バスの予約キャンセル数は惨憺たるもので、当店の売り上げから見ても人出は例年の10分の1以下に激減したのは明らかだった。

「この春は一体どうなるのか―。」

新年度を目前にした観桜期の始め、得も言われぬ不安が地元に拡がった。

仁王門前

 2020年3月31日 世界遺産仁王門前も人はまばら


4月初め:一時的に人出が増えるも…地元民の葛藤

    「いつもは大混雑する吉野山がガラ空きになっている」こんな報道を耳にした人たちが吉野山に集まり四月最初の数日間は一時的に人出が増える結果になった。それでも例年比で5分の1ほどの賑わいだったが、人出の増加は「感染症拡大のリスクを高める」事も意味する。
生活の為には店を開けないと行けないが、その結果新型肺炎に感染し命取りになれば元も子も無い―。
この大きな葛藤に頭を抱えた地元民は少なくなかっただろう。
そんなある日、大きな衝撃を受けたのは隣町のスーパーに買い物に出かけた時の事だ。店員と馴染みの客と思われる二人の会話が偶然耳に入る―。

「吉野山に全国各地から車が集まっているのが迷惑だ。コロナを持ち込まれたらどうする気だろう。」

ああ…、そうか、、周辺の人たちの不満はこれほどまでに高まっていたのだなと更なる葛藤に苛まれる事となる。当店のパート従業員も日に日に「感染が怖い」「周りから吉野山へは行くなと忠告されるようになった」などと訴えるようになり苦渋の判断になったが4月5日で全員の雇用を解除。
それ以降は感染リスクの高い飲食スペースを完全閉鎖し、衛生対策を更に強化した上で土産販売だけに変更。従業員は雇わず家族だけの縮小営業に切り替える事となった。

下千本駐車場

 2020年4月4日 観光駐車場に集まる多数の車


4月7日~:緊急事態宣言の発出。1300年続く伝統行事も閑散と

    4月7日(火)、いよいよ7都道府県で緊急事態宣言が発出され新型コロナウイルスへの警戒がより一層強化された。吉野山では一時的に増加していた人出もこの日を境に徐々に減少。1300年続く春の一大行事「花供会式(4月11、12日)」に於いては目玉となる大名行列は中止になり必要最低限の法要だけが執り行われた。会式第一日目は晴天に恵まれやや人出は増えたものの二日目は雨天とも相まって数えるほどの人出に。

生まれも育ちも吉野山である私からすると春の盛りにこれだけ閑散とするのはまるで夢を観ているような信じ難い光景であったし、同時にそれはコロナウイルスの影響の大きさを如実に物語るものであった。

蔵王堂

 2020年4月12日AM11:07 花供会式当日の蔵王堂


春の交通規制は異例の早期終了に

    春の吉野山では大きな混雑が発生するため、歩行者天国や一方通行などの交通規制がGW終了まで行われる。玄関口にある吉野山最大の下千本駐車場もこの時期は有料となり全国各地から集まった多数の観光バスが埋め尽くす光景は春の賑わいを象徴するものだ。
しかし前述の通り今年の人出は大きく落ち込み、歩行者天国が実施された日もわずかに留まった。 奈良県にも緊急事態宣言が発令されて以降人出の減少は更に顕著となり、下千本駐車場は4月19日をもって有料運営を終了。同時に春の交通規制も早期終了し異例の幕引きとなった。


【追記】下千本駐車場は4月28日から完全封鎖され利用できなくなった(写真)。

下千本駐車場

 2020年4月20日 交通規制は解除され観光駐車場も無料に


4月25日:GW初日 世界遺産 蔵王堂が入堂禁止に

    吉野山のシンボルとも言える世界遺産蔵王堂は国内屈指の大きさを誇る木造古建築。吉野山に来る人の殆どが訪れると言っても過言では無く、その堂々たる佇まいは修験道の聖地としての側面をも持つ吉野にあって一際の存在感を放つ。
だが、この蔵王堂もコロナウイルスの影響を回避する事は出来ず4月25日(土)からGW終了までの間入堂禁止の措置が取られている。堂外からは参拝可能だがゴールデンウィーク初日の人出は少なく賑わいのある光景は観られなかった。


全く先行きの見えないコロナ禍の吉野山。予想をはるかに超える人出の落ち込みは地元経済に深刻な影響を与え、自助努力で乗り切るには余りにも厳しいフェーズを迎えている。今後も何か情報が入り次第随時更新をして行く予定。

蔵王堂

 2020年4月25日 入堂禁止になった蔵王堂


5月2日(土): ドライブレコーダーの映像で観る吉野山GWの様子

    コロナ禍の中初めて迎えた5月の大型連休。 吉野山は新緑も美しく本来であれば絶好の行楽シーズンだが、新型コロナの影響で多くの店や旅館は閉まり人出も例年と比べれば僅かに留まった。
前回撮影した4月26日の時よりも人出は更に少なくなっていた印象。



5月12日(火): GWが終わった吉野山。「イッテQ!」で吉野山が放送されるも…。

    緊急事態宣言の中初めて迎えた大型連休が終了して一週間近くになる。振り返ってみると連休中の人出は僅かに留まり多くの人が外出自粛を守っている事が改めて証明された形だ。
感染症対策の点から観ると非常に好ましい事だが、このままの状況が続けば地元経済に深刻なダメージを与えるのは言わずもがなだ。
各地では営業再開を始める店舗が徐々に増えている実態も報道されてはいるが、吉野山の場合高齢の事業者も多く、今後も営業再開を躊躇し更なる苦境に立たされる事業者が出てくる可能性は否めない。

    さて、先日5月10日(日)には日本テレビの人気番組「世界の果てまでイッテQ!」で吉野山の桜が放送された。タレントのみやぞんさんが全国の桜を巡り桜風景と共にカレンダー写真を撮影すると言う企画だ。
イッテQ!と言えば全国波の高視聴率番組であり、放映後は当店の桜特集のホームページの閲覧数も大きく増加する結果に。
これだけの人気番組なので放送後の週明けには人出が多少増えるかも知れないと予想したが、緊急事態宣言が未だ発令されている事もありこれまでと変わらず昨日今日も閑散とした状況が続いている。

全国的には新型コロナの感染者は徐々に減っていると報告されているが、死者数の増加ペースは依然落ちていない。また、今後緊急事態宣言が解除されたとしてもいずれ「第2波」が起こり再び振り出しに戻る可能性もある。
これからも当分の注視が必要になりそうだ―。

みやぞんさんと一目千本

 吉野山を訪れたみやぞんさん(画像引用元:日本テレビ「世界の果てまでイッテQ!」)


5月17日: 緊急事態宣言解除に伴いTwitterを再開

    当サイトが運営するTwitterアカウント「吉野山最新情報@News_Yoshino」は緊急事態宣言が発令されて以降一時休止していましたが、5月14日の解除を受けて再開します。コロナ関連の情報は引き続きTwitter上でお伝えして行きますのでフォロー宜しくお願いします↓↓↓


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